始まりは、ほんの小さなきっかけだった。
ひとつひとつ島を巡る旅の中でいろんな物語に出会った。
英雄になれた時もあった。
救えなかった村もあった。
正解が分からない時もあった。
それでも旅を続ける。
そしてその小さな旅の積み重ねが、世界を繋ぎ、歴史を繋いでいった。
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旅のきっかけは、キーファだった

「自分にしかできないことを見つけたい」
それはキーファの願いと好奇心だったんだと思う。
主人公はそんなキーファに巻き込まれる形で旅へ出ることになる。
手に入れたふしぎな石版を使って、見知らぬ土地をひとつずつ訪ねていく。
新しい村や街にはそれぞれの暮らしがあって、それぞれの問題があった。
そしてこのDQ7の世界の物語に私はどんどん引き込まれていった。
最後まで残っていた想い
私が一番切ないと思った物語。
『ゼボットとエリー』
ゼボットは亡くなった恋人と同じ名前をからくり兵につけ、「エリー」として一緒に暮らすことを選んだ。

そして現代……。
そこにいたのは、ボロボロになりながら白骨化したゼボットを看病し続けるエリーだった。
こうなることは分かってた。
分かってたけど見た瞬間、切ないし苦しかった。
「DQ7だ……これが」と思った。
物語の終盤、フォロッド周辺から忽然と人の姿が消えた。
久しぶりにゼボットの家を訪ねると、エリーもついに動かなくなっていた。

あぁ、エリーもここで役目を終えたんだな……。
人も、からくり兵も、永遠には残らない。
それでもエリーがゼボットを想い続けた時間は、確かにそこにあった。
語り継がれていくもの
でも、なくなってしまったものが、誰かの言葉によって未来へ残っていくこともあった。
人が石になった街、ダイアラック。
クレマンは石化を解く手段を手に入れていたものの、長い年月で人々は風化し、もう元には戻せなかった。
それを分かっていて振り撒く「天使の涙」は悲しくも美しく輝いた。

そんな中、地下にいたことで風化を免れていたヨゼフだけは無事に元の姿に戻った。
たった一人でも救えて本当に安心した。
その後、クレマンとヨゼフは、灰色の雨で人が石化する話を語る旅に出た。
現代に、かつてのダイアラックの街並みは残っていなかった。

少し寂しかった。
でも物語はここで終わりじゃなかった。
旅を続ける中で、二人の話を何度も耳にする。
いつの間にかヨゼフは青年になっていた。
人が語り継ぐことで、なくなった場所の歴史も未来へ繋がっていく。
何より、ヨゼフが成長しながら旅を続けていたことが嬉しかった。
見守ることしかできなかった物語
グリンフレークで出会った、ペペとリンダ。
二人は確かに想い合っていた。
それでもリンダはペペに強い言葉をぶつけ、ペペは街を出て行ってしまう。
過去へ行けるのだから、何か変えられるんじゃないか。
私はそんなことを期待していたのかもしれない。
でも、主人公たちにできたのは、二人の選択を見守ることだけだった。

二人は想い合ったまま別々の人生を歩き、一緒に生きることはなかった。
「本当にこれでよかったのかな……」
そう思っていても、時間は過ぎていく。
そして主人公にできたのは、ペペにリンダのお墓のことを伝えることだけだった。
現代に残る、ふたつ並んだペペとリンダのお墓。

やっと一緒になれたってことか……。
もう遅すぎたのかもしれない。
これでよかったのかも、やっぱり分からない。
それでも、悲しい結末まで見届けなければならない物語だった。
ひとりの人生に流れていた時間
旅の途中、私にはひとつの楽しみがあった。
本棚を調べると出てくる「冒険家ヌルスケの日記」だ。
ちいさなメダルを集めながら、メダル王を探して旅をしている話だった。
いろんな場所で日記を見つけるたび、続きを楽しみにしていた。
でも私は現代のレブレサックで、ヌルスケの墓を見つける。

そしてそのお墓に残されていたのは、彼が集めていたちいさなメダル。
その瞬間、
「ヌルスケもこの世界を生きていたんだ……」
と少しハッとした。
それまでは、どこか本の中の登場人物のように思っていたからだ。
でもヌルスケも主人公たちと同じ世界を旅して、時間を重ねていた。
突然の終わりに、なんだか寂しくなった。
ただ本棚の日記を読んでいただけなのに、気づけば私は、ヌルスケという冒険家の人生を最後まで追いかけていた。
こんな小さな出来事からも時間の流れを感じるのが、ドラクエの世界の好きなところだ。
私自身に与えられた選択
レブレサックでは、神父の姿をした魔物を始末しようとする村人たちがいた。
もちろん、村の人たちの怖がる気持ちも分かる。
でもその魔物は誰も襲わないし、ただ悲しそうにそこにいるだけだった。
「魔物だから」という理由だけで始末することに、どうしても賛成できなかった。

だから私は「いいえ」を選んだ。
ドラクエでは、物語を進めるために「はい」を選ばないといけないことがある。
今回もそうなんだろうなと思いながら、それでも「いいえ」を選び続けた。
でも今回は違った。
「いいえ」を選んでも物語が進んだ。
結末そのものを変えられたわけじゃない。
それでも、「私はそれには賛成できない」という気持ちを曲げなくてよかった。
この与えられた選択によって、これが私の旅になったのは確かだと思う。
主人公の運命
主人公が、はっきりと「シャークアイとアニエスの息子だ」と言われることはなかった。
でもそう思わせる発言や出来事がいくつもあった。

シャークアイ、アニエス、水の精霊……。
旅を続けていくうちに、主人公自身にも、過去から続く物語があったことが見えてくる。
最初はキーファに巻き込まれるように始まった旅。
この旅に出ることも、きっと主人公の運命だったのかな。
もう一度、相棒に
もう一度キーファと旅ができるなんて思ってなかった。
少し大人になったキーファが
「……夢みたいだ。もう一度 一緒に戦えるなんてな。」
そう言って振り返り、微笑んだ。

主人公が感じた嬉しさがこちらにも伝わってきた。
そうだよね、もう一度相棒になれて嬉しいよね。
でも、その旅にも終わりが来る。
過去へ帰っていくキーファは、涙をこらえるような表情をしていた。
その絶妙な表情にこっちが泣いてしまった。
最後は振り返らず、こちらに手だけを振って去っていった。

そして物語の最後。
キーファが遠い過去に残した石版が、現代で見つかる。

「どんなに離れていても オレたちは友だちだよな!」
そう最後に書き残してくれた。
違う時代を生きて、それぞれの道を歩いてきた。
それでも、ふたりはちゃんと繋がっていた。
旅を終えて
振り返れば、この旅ではいろんな物語を見届けてきた。
亡くなった人のそばで、最後まで看病を続けたからくり兵。
なくなってしまった街の出来事を、旅をしながら語り継いだ青年。
想い合っていたのに一緒には生きられず、最後にはふたつ並んだお墓。
本棚の中で旅を続けていた冒険家。その物語の終わりに残されていた、ちいさなメダル。
理不尽だと思ったことに、私が選ぶことのできた「いいえ」。
そして最後には、遠い過去を生きた友達の言葉が、長い時間を越えて届いた。
始まりは、たったひとつの小さな島だった。

そこからひとつずつ島を巡り、過去と現在を行き来しながら、世界を取り戻してきた。
誰かが誰かを想い、語り継ぎ、何かを残す。
それをまた誰かが受け取って、次の時代へ繋いでいく……。

世界や歴史を繋いでいたのは、そんな人たちだったのかもしれない。
DQ7は、過去と現在に橋を架け、それぞれの想いを繋いでいく旅だった。
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